最近、インターネットやメディアなどで「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉を頻繁に見かけるようになりました。

日本では新型コロナウイルスの影響もあり注目され、ビジネス用語として定着しつつあるDXですが、今DXはかつてないほど日本企業に必要とされています。

それはなぜなのでしょうか?自社の採用に影響があるのか。参考になれば幸いです。

【DXの概念・IT化との違い】

 DXを直訳すると「デジタルによる変容」となります。経済産業省は、DXを「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。 一言でいうと「ITの活用を通じて、ビジネスモデルや組織を変革すること」です。
 「IT化」と「DX」の違いは、 IT化はDXの手段であり、DXはIT化の先にある目的であると考えられます。

【採用DXとは?】

新型コロナウィルスの影響により、会社説明会や面接などのオンライン化が急速に進みました。オンライン化にはなんとか対応してきたものの、「求職者へ認知してもらう機会がなくなった」「内定辞退が増えた」など採用活動自体はうまくいっていないという企業も多くいます。また、近年の急速なSNS普及により、個人が情報を発信しやすくなり、その情報は瞬く間に世界中に広がるようになりました。その結果、第三者の口コミや選考での体験発信などが企業での採用においても重要性を増しています。
こうした環境の変化の中で、「採用力の格差」が如実に現れる事態となっています。
変化し続けるテクノロジーをうまく活用し、採用活動をアップデート出来ている企業に優秀な人材が集まる反面、元々のやり方を変えることに遅れをとっている企業は採用活動が難しくなっています。つまり採用DXとは、「ツールの導入だけではなく、テクノロジーの活用による業務変革を通じ、採用力の向上・優秀な人材の安定的な確保」のことを指します。  

【採用DXが求められる背景】

では採用領域におけるDXで、私たちは何を実現するべきなのでしょうか?
求められる理由は大きく分けて2つあります。
 新型コロナウイルスの影響で採用のオンライン化の加速
 採用のオンライン化が進んだことで、下記のように全てのフェーズにおいて課題があらわれました。
 ●認知
 ⇒説明会や交流会の実施が出来ず、認知獲得が困難
 ●応募
 ⇒場所を選ばず面接を受けやすくなり気軽に応募する求職者が増えた一方、企業側の対応の遅れ
 ●選考・内定
 ⇒面接のオンライン化により、候補者とのグリップが弱体
 ⇒オフィス訪問が出来なくなり、社内の雰囲気が伝わりにくい
 ●入社後
 ⇒リモートワークがメインのため、育成や交流が困難となり離職へ繋がる
 
今までオフラインでおこなっていたことをそのままオンラインに置き換えただけでは、オンライン採用はうまく機能しません。採用力向上を実現するためには、時代の変化に適応できる新たな採用基盤を構築することが求められています。
 
②SNSや口コミサイトの普及
もうひとつは、SNSや口コミサイトが普及したことで、「第三者からの情報」が採用においても重要性を増していることが挙げられます。近年では、コーポレートサイトや広報ブログといった企業発信の情報だけでなく、社員のSNSアカウントを参照したり、選考を受けた人の口コミを検索する人が増えています。
企業への応募を検討する際に活用されていた説明会などが開催できなくなったことで、知人や友人からの口コミの重要性が高まっているのです。

【具体的に何から始めていけばいいのか】

①組織のデジタル化
組織のデジタル化とは、組織文化の進化・ITによる業務改善を通して“従業員体験”を向上させるための取り組みです。
SNSや口コミでの情報発信が大きな情報源となってきた今、どれだけテクノロジーを活用して採用活動を改善したとしても、組織そのものに魅力がなければ従業員の協力を得ることも難しくなります。
そのため、採用DXの推進おいては「従業員体験(EX)を継続的に改善すること」も忘れてはなりません。 

③候補者体験(CX)のデジタル化
候補者体験のデジタル化とは、一貫した採用コンセプトを基に採用のオンライン化を実現することです。
まずは、市場環境の変化に合わせて自社のCXを見直します。つまり採用候補者の視点から、それぞれの行動を起こすきっかけを洗い出すことで、採用における優先課題と施策の可視化を行うことです。
一例として、 「候補者アンケート」の実施があげられます。面接後や内定後の段階で「自社のことを知ったきっかけ」「選考で聞きたいこと」などを項目に入れたアンケートを実施し、それをもとに候補者とコミュニケーションしたり、コンテンツの改善に活用することができます。他にもパーソナリティ診断などで定量的なデータを取得した上で、面接は基本的に1回という選考フローにしている企業もいます。
候補者の心理状態を想定しながら、魅力的な体験を設計していきます。 

②採用ツールのデジタル化
ATS(採用管理システム)などのツールを活用することで、候補者のリサーチや、面接の日程調整、選考中のコミュニケーションにおける業務の効率化が可能になります。
「採用したい人物像(ペルソナ)」を明確化することで自社にフィットする人に対して継続的なアプローチがしやすくなり、採用コストを下げることにもつながります。
さらに、AIを取り入れれば、履歴書や職務経歴書などを読み込む時間の短縮や、スキルや志向性などが自社にマッチするかを客観的に判断することが可能となります。
以上が採用DXのまとめです。

現在、DXで成果を上げている企業は、世界でもわずか5%といわれていますが、今後多くの企業が変化する採用市場へ適応するために、採用のDXに取り組んでいくと思われます。
採用DX化はテクノロジーの導入だけではなく、組織全体を見つめ直し、改善していくことが必要不可欠なのです。