「育児休業」と聞くと女性が取るものというイメージはありませんか? もちろん、育児休業は女性だけのものではなく、男性も取得することができます。しかし厚生労働省が発表している「令和元年度雇用均等基本調査」によると、男性の育休取得率は2020年度で12.65%でした。厚生労働省では、男性の育児休業取得率を上げるため、助成金を支給する取り組みを行なっています。
従業員・企業側両方から育児休暇を取得するメリットや助成金受注に必要な条件を解説します。

男性の育児休暇取得の現状

「令和元年度雇用均等基本調査」によると、男性の育休取得率は2020年度で12.65%となり、前年の2019年度の7.48%からかなり増加しましたが、まだ国際的には低い水準になっています。

根本的な理由としては、男は仕事、女は家庭という旧来の伝統的な性別役割分担の価値観がいまだに残っていることにあります。
また、男性でも育児休業を取得できることを知らないというケースもよくあります。「育休をとったら生活費に困る」と考えている人や、自分が休むと仕事が滞ると思い込んでしまう人、将来のキャリアにマイナスの影響が出ると考えてしまう人もいるようです。

育休取得期間は?給付金は?給料は何%もらえる?

育児休業は、性別に関わらず取得でき、取得できる期間は原則として、妻の出産予定日以降から子どもが1歳になるまでです。

両親が“ともに”育児休業を取得する場合は、タイミングなどの条件がありますが「パパ・ママ育休プラス」が適用されます。
また、育児休業は原則1度しか取得できませんが、父親には「パパ休暇」という特例があります。パパ休暇は、母親の産後8週間以内に育児休業を取得すると、期間内にもう一度育児休業を取得することができる制度です。

育児休業中は就業規則上、無給としている企業が多いです。しかし、雇用保険に加入しており一定の要件を満たしていれば、「育児休業給付金」が雇用保険から支給されます。
「育児休業給付金」は二段階となっており、最初の6カ月は「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」、それ以降は50%が支給されます。育児休業給付金は非課税なので、育休中に無給となった分に応じて所得税と住民税(次年度分)の負担が軽くなります。
また、育休中は厚生年金保険料や健康保険料などの社会保険料が免除される制度があります。これらの保険料の負担額は所属している健康保険組合によって異なりますが、月収の14%ほどです。
その結果、育休中は休業前の手取り月収の実質8割ほどがカバーされることになるのです。

育児休暇取得の基礎・メリット  ―従業員側―

大手企業を中心に男性社員に積極的に育児休業を取得するよう働きかける動きが見られますが、男性の育休は、まだ世に浸透されておらずハードルが高い印象があります。
育児休暇を取りたくても取れない・取りづらいと考える男性も多いでしょう。
しかし、育休は男性も取得する権利があり、原則として申請があった場合は会社が取得を拒否・制限することが出来ません。
育児休暇の基礎部分について3つの事をお伝えします。

≪①制度が無くても取得は可能≫
会社に育休という制度がなくても「育児介護休業法」に基づいて育休は申し出をすれば取得することが出来ます。
労働者の権利として保護されているものなので、会社側も申請があれば認める必要があるのです。

≪②取得する条件≫
下記3つの条件に当てはまれば、会社側は原則申請を拒否することはできません。
・同じ事業主に1年以上雇用されていること。
・子どもが1歳を迎えた後も、引き続き雇用されること。
・子どもが2歳の誕生日前々日までに、労働契約期間が満了しており引き続きの雇用が見込まれていること。

≪③育児休暇の期間≫
基本的には、子どもが生まれた日から1歳になるまでの間です。

また1歳に達する時点で労働者もしくは配偶者が育休をしており、かつ保育所に入れることが出来ないなどの理由で休業が必要と判断される場合には子どもが1歳6か月に達する日までの期間、事業主に申告する事で育休を延長する事も可能です。

さらに1歳6か月の時点で、同じ状況であれば最長2歳まで延長が出来ます。

また、取得することで感じることが出来るメリット2つもお伝えします。
≪①夫婦関係へのメリット≫
夫婦が協力し合って子育てをした場合、夫に対する愛情はV字回復していく、という調査結果があります。
また、アメリカの学者は、夫婦の仲の良さが子どもの自己肯定感の高さにつながり、学力も高くなると述べています。
育児休業は「育児に参加する」という一種の表明のため、夫婦関係、ひいては子どもの教育のためにもメリットがあります。

≪②キャリア形成へのメリット≫
夫が育児に参加し妻の負担が減ることで、妻は復職を早めることができるなど、育児によるキャリアロス期間を短縮できるでしょう。これは妻のキャリアを考える上で非常に重要です。
また、実は男性社員にとっても育児休業を長く取れる組織ほど帰属意識や仕事の意欲が高まるというデータも発表されています。
キャリア形成やモチベーションの持ち方という視点で考えても、男性が育児休業を取得することのメリットは十分あるのです。

取得しづらいのではないかと思っていても、「上司に申し出てみたらあっさり許可してくれた」というケースもあります。まずは相談してみてはいかがでしょうか。

育児休暇取得のメリット  ―企業側―

令和元年12月に閣議決定された「第2期『まち・ひと・しごと・創生総合戦略』」において、2025年までに男性育児休業取得率を30%と目標が明記されています。
積極的に子育てをしたいという男性の希望を実現し、女性側に偏りがちな育児や家事の負担を夫婦で分かち合うことで、女性の出産意欲や継続就業の促進にもつなげ、急速に進む少子化の流れを止め安心して生み育てるための環境を整えることが目的です。
その環境整備の一環として、取得企業が受給できる「出生時両立支援助成金(通称:イクメン助成金)」があります。「出生時両立支援コース」は、男性従業員が育児休業や育児目的休暇を取得しやすい職場風土作りに取り組み、育児休業や育児目的休暇を取得した男性従業員が生じた事業主に支給されます。
「条件」と「受給出来る金額」を解説していきます。

≪①受給するための条件≫
・出生後8週間以内に14日以上(中小企業は5日以上)育休を取得させること。
・雇用保険に加入していること。
・過去3年以内に男性の育児休業取得者が出ていないこと。
・育児休業をしやすい環境づくりへの取り組み。

≪①受給出来る金額≫
助成される金額は、企業規模や育休取得者が1人目なのか2人目なのかによって金額が異なります。
また1年度につき従業員1人までが支給対象です。
また、男性社員が育児休業を取得する前に個別面談を行うなど、育児休業の取得を後押しするような取り組みをしている場合、さらに「個別支援加算」が適用され、支給される金額が増えます。
引用:厚生労働省
中小企業の定義については、原則として下記の表です。
また、企業側のメリットとして、男性の育休取得を推進することで、社外からのイメージアップを図れるという側面があります。

いまの男子学生の4割以上が「育児休業を取って積極的に子育てしたい」と考えています。大学で少子高齢化における日本の社会保障の問題やワークライフバランスについて学んでいることも影響しており、結婚へのリスクを感じている男子学生は多く、女子学生も自分が働き続けることを前提に将来を考えています。
今後、労働力人口が不足する日本では、企業側にとって労働環境を良くしておくことは優秀な人材を確保するために必要不可欠です。
国から「両立支援等助成金」が支払われることで、優秀な人材に対して採用時にアピールすることができ、離職防止へも繋がります。

また、働きながら安心して子どもを産み育てることができる労働環境の整備推進を目的に、育児を積極的に行う男性=「イクメン」を応援し、男性の育児休業取得を促進する「イクメンプロジェクト」の一環として、2013年から厚生労働省が主体となり「イクメン企業アワード」が実施されています。
さらに、2014年には「イクボスアワード」として部下の仕事と育児の両立を支援する上司を表彰する制度もできました。

こういった「イクメン企業アワード」のほか、子育てサポート企業の証である「くるみん」など、国や地方公共団体の認定制度の取得や表彰へ応募することで、社外からの評価が高まります。
これらの公的な認定制度のマークを採用のPRに使うことで、優秀な人材の採用・確保・定着へとつながるなど、企業側のメリットは多々あります。
引用:厚生労働省

男性の育休取得義務化への動き

現在、「育児休業給付金」を80%へ引き上げようとする案が政府で検討されています。
目的は、まさしく男性の育児休業取得を促すためです。

給付が80%に引き上げられれば、社会保険料の免除などと組み合わせることで、月収のほぼ100%近くをまかなえるようになります。制度的には育児をしながらの仕事がしやすくなってきていて、徐々に社会全体の理解も深まっていくと考えられます。

日本は男性の育児休業得率は低いものの、2019年にユニセフが発表した「先進国における家族にやさしい政策ランキング」では、父親の育児休業制度の充実は世界1位となりました。
さらに、男女ともに1年間同時に育休を取れる国はほかにありません。

世界でも類を見ないスピードで少子高齢化が進む日本ですが、今後は育児休業取得が義務化されるなど、より思い切った制度が生まれるかもしれません。
この変化の流れの中で企業として生き残るには、柔軟な変化が必要といえます。

両立支援等助成金には、介護休業のコースもある

両立支援等助成金には、介護休業向けのコースもあります。
簡単にご紹介すると、介護休業を取得した時に28.5万円、介護休業から職場に復帰した時にさらに28.5万円が支給される「介護離職防止支援コース」という制度です。

こちらも就業規則の記載や、面談の実施、介護支援プランの作成など、一定の要件に該当した場合に支給されます。
出産だけでなく、介護による離職も企業にとってはダメージが大きいため、うまく助成金を活用して、従業員の方の定着をはかるとよいでしょう。
助成金を検討する場合は、助成金申請のプロフェッショナルである社会保険労務士に相談するとスムーズです。
今回ご紹介した助成金だけでなく、希望に合った助成金を提案してもらうこともできます。
情報収集や、書類作成にかける時間を本来の業務に充てることができ、効率よく助成金を受給されることをお勧めします。

弊社は、全国に助成金申請専任の社労士200人と業務提携しているoshieteの認定コンサルタントです。
助成金の申請代行に関してはこちらの記事で詳しく解説しています。

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