求人原稿のNGワード|法令違反を回避する方法

求人関係

「うちの求人原稿、本当に大丈夫だろうか?」——そんな不安を抱えながらも、日々の業務に追われて見直せていない人事担当者の方は少なくありません。実は、採用活動でよく使われる表現の中に、法令違反となるNGワードが潜んでいるケースは非常に多いのです。

男女雇用機会均等法、雇用対策法(年齢制限に関する規定)、職業安定法——これらの法律は、求人票や求人広告に記載できる内容を厳しく定めています。違反した場合、企業名が公表されるリスクや行政指導を受ける可能性もあり、採用ブランドの失墜にもつながりかねません。

この記事では、従業員50名以下の中小企業で人事を担当している方が「今日から」実践できるよう、求人原稿に潜むNGワードとその正しい言い換え表現を、法律の根拠とともにわかりやすく解説します。

目次

求人原稿と法令の関係:なぜNGワードが問題になるのか

求人票・求人広告は「労働条件の提示」にあたる

多くの中小企業では、求人票や求人広告を「単なる募集のお知らせ」と軽く考えてしまいがちです。しかし、法律の観点からみると、求人票・求人広告は企業が求職者に対して労働条件を公式に提示する場であり、記載内容には厳格なルールが存在します。

たとえば、職業安定法第65条では、虚偽または誇大な内容で求人を行うことを明確に禁止しています。また、男女雇用機会均等法第5条・第7条では、採用において性別を理由に不合理な差別的取り扱いをすることを禁じており、求人広告での表現もその対象となります。さらに、雇用対策法(現:労働施策総合推進法)第9条は、求人における年齢制限を原則として禁止しています。

これらの法律は「大企業だけに適用される」というものではなく、従業員数に関係なく、すべての企業が対象です。規模が小さい中小企業だからといって見逃されるわけではありません。むしろ、法務部門や専任の人事担当者が不在のことが多い中小企業こそ、知識不足によるうっかり違反が起きやすい環境にあると言えるでしょう。

違反した場合のリスクとは

では、実際に違反してしまった場合、どのようなリスクが生じるのでしょうか。主なリスクは以下の通りです。

  • 行政指導・是正勧告:ハローワークや労働局から指導を受け、原稿の修正や削除を求められます。
  • 企業名の公表:悪質なケースや是正に応じない場合、厚生労働省や都道府県労働局によって企業名が公表されることがあります。
  • 採用ブランドへのダメージ:SNSや口コミサイトを通じて情報が拡散し、優秀な人材が応募を敬遠するリスクがあります。
  • 求人媒体への掲載拒否:求人広告を掲載する媒体側も審査を行っており、NGワードが含まれると掲載を断られる場合があります。

これらのリスクは、採用活動の停滞だけでなく、企業の信頼性そのものを傷つける重大な問題です。コンプライアンスを守ることは、採用力を守ることでもあるという認識を持つことが重要です。

【GRAEM考察:中小企業はどう動くべきか】

法令リスクへの対応は「問題が起きてから」では遅すぎます。株式会社GRAEM(グリーム)が支援してきた中小企業の多くで、求人原稿のコンプライアンス確認が採用活動の後回しになっているケースを目にしてきました。まずは「自社の求人票が法律に沿っているか」を定期的に見直すルーティンを作ることが最初の一歩です。外部の採用支援パートナーを活用し、専門知識を補うことも有効な選択肢です。

男女雇用機会均等法で禁止されるNGワードと言い換え表現

性別を限定・示唆する表現はすべてNG

男女雇用機会均等法において、求人募集・採用の際に性別を理由とした差別的な取り扱いをすることは禁止されています。これは、単に「男性のみ募集」「女性のみ募集」と明記するケースだけでなく、表現の仕方によって事実上特定の性別を排除・優遇していると受け取られる記載も違反の対象となります。

典型的なNGワードとその言い換え例を以下に示します。

  • NG:「営業マン募集」→ OK:「営業スタッフ募集」「営業担当者募集」
  • NG:「女性スタッフ歓迎」→ OK:「未経験歓迎」「コミュニケーション力を活かせる方歓迎」
  • NG:「男性向けのハードな仕事です」→ OK:「体力を必要とする作業があります」
  • NG:「ウェイトレス」「スチュワーデス」→ OK:「ホールスタッフ」「客室乗務員」

特に注意が必要なのは、職種名に性別が含まれているケースです。「営業マン」「セールスマン」のように、古くから使われてきた職種名の中には、男性を前提とした表現が慣習的に残っているものがあります。こうした表現は「悪意がない」「昔からそう呼んでいた」という理由では免責されません。法令上の問題として対処する必要があります。

「歓迎」「活躍中」も要注意な表現

直接的な性別表記がなくても、特定の性別を連想させる表現や状況説明が問題になることがあります。たとえば「女性が多く活躍中の職場です」という表現は、얼핏すると魅力的なPRのように見えます。しかし、男性の応募者に対して「自分は歓迎されないかもしれない」という印象を与えかねず、実質的な性別による選別につながると判断される場合があります。

同様に、「子育て中のママさん活躍中!」という表現も、女性を念頭に置いた表現として問題視される可能性があります。伝えたい内容(育児との両立がしやすい環境)は、「時短勤務制度あり」「育児休暇取得実績あり」などの制度・実績の表現で中立的に伝えるべきです。

性別に関するNGワードを避けるための基本的な考え方は、「誰が読んでも、特定の性別が有利・不利になると受け取られない表現かどうか」を確認することです。この視点で原稿全体を見直すだけで、多くの問題を予防できます。

【GRAEM考察:中小企業はどう動くべきか】

職場の雰囲気や働き方の多様性をPRしたいという気持ちは理解できます。ただ、その方法を誤ると法令違反になるリスクがあります。株式会社GRAEM(グリーム)では、「伝えたいこと」を法令に沿った表現に変換するサポートを行っています。たとえば「女性が多い」という事実を伝えるのではなく、「産育休取得率〇〇%」「時短勤務者在籍数〇名」といったデータで表現することで、法的リスクを回避しつつ職場の魅力を正確に伝えることができます。

年齢制限に関するNGワードと合法的な例外規定

原則として年齢制限は禁止されている

「35歳以下の方歓迎」「シニア不可」「定年前の方は応募ご遠慮ください」——これらの表現は、すべて労働施策総合推進法(旧・雇用対策法)第9条が定める年齢制限の禁止規定に違反する可能性があります。同法は、事業主が労働者を募集・採用する際に、年齢を理由に特定の人を排除することを原則として禁じています。

よくある年齢に関するNGワードの例を以下に挙げます。

  • NG:「20代・30代活躍中(暗に年齢上限を示唆)」
  • NG:「若手を積極採用中!」(若手の定義が曖昧で年齢制限と受け取られる)
  • NG:「定年間近の方はご遠慮ください」
  • NG:「40代以下の方を優遇します」

「20代・30代活躍中」という表現は、一見すると現状を紹介しているだけのように見えます。しかし、それを読んだ求職者が「40代以上は応募しにくい」と感じるならば、事実上の年齢制限として問題視される可能性があります。表現の意図だけでなく、読み手への影響を考えることが重要です。

例外として認められる6つのケース

ただし、年齢制限がすべての状況で許されないわけではありません。法令上、以下の6つのケースに限り、例外として年齢を条件にした募集が認められています。

  • 例外①:定年年齢を上限として、その年齢未満の労働者を期間の定めなく募集する場合(例:定年が65歳の企業が65歳未満を募集)
  • 例外②:労働基準法などで就業が制限されている年齢がある場合(例:18歳未満が危険業務に就けない等)
  • 例外③:長期勤続によるキャリア形成を目的に、若年者を対象とした募集を行う場合(35歳未満が多い)
  • 例外④:技能・ノウハウの継承のため、特定の年齢層に限定した募集を行う場合
  • 例外⑤:地域限定正社員など、特定の雇用形態における年齢制限がある場合
  • 例外⑥:芸術・芸能など、作品の表現上年齢が不可欠な場合

例外③を活用する場合でも、「若手を採用したい」という意図をそのまま書くのではなく、「長期的なキャリア形成を支援するため、35歳未満の方を対象とした募集です(例外事由該当)」という形式で、例外事由を明記する必要があります。例外を主張する際は、根拠を明確に示すことがルールです。

【GRAEM考察:中小企業はどう動くべきか】

年齢制限の例外規定は存在しますが、その活用には正確な知識と記載方法が求められます。「若い人が欲しいから」という感覚的な理由だけでは例外として認められず、法令違反になるリスクがあります。株式会社GRAEM(グリーム)では、採用ターゲットの年齢層を設定する際にも、法令の枠組みの中でどう表現すれば効果的かをアドバイスしています。採用したい人材像を年齢ではなく「経験年数」「スキルセット」「キャリアステージ」で定義することで、法的リスクを回避しつつ求めるターゲットに響く求人原稿が作れます。

職業安定法で定められた虚偽・誇大表現のNGワード

「絶対」「必ず」「No.1」などの誇大表現

職業安定法は、求人広告に記載する情報の正確性・透明性を厳しく求めています。特に第65条では、虚偽の条件を提示したり、実態とかけ離れた誇大な表現で求人することを禁止しています。また、2022年の法改正により、求人情報の的確な表示義務がより明確化され、違反に対するペナルティも強化されています。

典型的な誇大表現のNGワードを以下に示します。

  • NG:「絶対に稼げる!」→ 収入は個人差があるため断定表現はNG
  • NG:「業界No.1の待遇」→ 根拠のない順位付けは誇大広告にあたる
  • NG:「必ず正社員になれます」→ 正社員登用を保証する表現は実態に沿わなければNG
  • NG:「残業ほぼゼロ!」→ 実態と乖離している場合は虚偽記載にあたる
  • NG:「完全週休2日制」→ 実際には月に数回出勤がある場合は「週休2日制(月〇回)」と正確に表記する必要がある

特に「完全週休2日制」と「週休2日制」の違いは誤解が生じやすいポイントです。「完全週休2日制」とは毎週必ず2日休みがある制度を指し、「週休2日制」は月に1回以上2日連休がある制度を指します。この二つを混同して記載することは、求職者への誤解を招くだけでなく、法令上も問題になりえます。

労働条件の明示義務と記載漏れのリスク

2024年4月の職業安定法施行規則の改正により、求人票に記載すべき事項がさらに明確化されました。求人広告において、以下の基本的な労働条件は原則として明示することが義務づけられています。

  • 業務内容(従事すべき業務の内容)
  • 労働時間(始業・終業時刻、残業の有無)
  • 賃金(基本給、手当、昇給の有無)
  • 就業場所
  • 雇用形態(正社員・契約社員・パートなど)
  • 試用期間の有無とその条件

これらの情報を「詳細は面接でお伝えします」として省略することは、求職者に不利益を与える可能性があり、問題視される場合があります。また、試用期間中の賃金が本採用後と異なる場合は、その旨を明記する必要があります。「書きたくない情報を隠す」ために曖昧な記載をすることは、法令違反のリスクを高めるだけでなく、採用後のトラブルにもつながります。

【GRAEM考察:中小企業はどう動くべきか】

中小企業の求人原稿でよくあるのが、「とにかくよく見せたい」という意識から生まれる誇大表現や、面倒だからと条件を省略するケースです。しかし、株式会社GRAEM(グリーム)の経験上、正確で誠実な情報開示こそが採用のミスマッチを防ぎ、定着率向上に直結します。たとえば「残業あり(月平均20時間)」とはっきり書くことで、それを受け入れられる求職者だけが応募してくれるようになり、結果として採用の質が上がります。誠実な原稿作成はリスク回避であると同時に、採用ROIを高める戦略でもあります。

中小企業が今すぐできる!求人原稿チェックリストと運用ポイント

掲載前に必ず確認すべき5つのポイント

求人原稿を作成したら、掲載前に以下の5つのポイントを必ずチェックする習慣をつけましょう。これだけで、主要な法令違反リスクの大部分を予防することができます。

  • チェック①【性別表現の確認】:職種名や業務内容の説明に性別を連想させる表現が含まれていないか確認する。「営業マン」「ウェイトレス」などの職種名を中立的な表現に修正する。
  • チェック②【年齢表現の確認】:年齢を制限する表現(直接的・示唆的いずれも含む)が含まれていないか確認する。例外事由を活用する場合は根拠を明記する。
  • チェック③【誇大表現の確認】:「絶対」「必ず」「No.1」など根拠のない断定表現や最上級表現が含まれていないか確認する。
  • チェック④【労働条件の正確性確認】:記載した給与・勤務時間・休日などの条件が実態と一致しているか確認する。「完全週休2日制」など制度の正確な意味を理解した上で使用する。
  • チェック⑤【必須記載事項の確認】:業務内容・労働時間・賃金・就業場所・雇用形態・試用期間などの基本情報が漏れなく記載されているか確認する。

このチェックリストは、人事担当者が一人で対応している中小企業でも、原稿作成者とは別の担当者が最終確認を行うダブルチェック体制を取ることで効果が大きく高まります。

社内でのチェック体制をどう構築するか

専任の人事担当者や法務担当者がいない中小企業では、求人原稿のコンプライアンスチェック体制を整えることが特に重要です。以下のような仕組みを取り入れることで、継続的に法令リスクを管理することが可能になります。

  • NGワードリストの整備:社内で使用禁止とするワードや表現のリストを作成し、原稿作成時の参照資料として活用する。本記事で取り上げたNGワードを参考に、自社の業種・職種に合わせてカスタマイズするとよい。
  • テンプレートの活用:過去に問題がなかった求人原稿を「公式テンプレート」として整備し、毎回ゼロから書くリスクを減らす。テンプレートは年に1回以上、法改正に合わせて見直す。
  • 外部専門家との連携:社労士や採用コンサルタントに定期的に原稿を確認してもらう体制を構築する。採用支援(RPO)サービスを活用するのも有効な手段の一つ。
  • 媒体担当者との情報共有:求人媒体の営業担当者は法令知識を持っていることが多い。掲載前の審査結果やフィードバックを社内で蓄積・共有し、次回の原稿作成に活かす。

一度違反原稿を掲載してしまうと、その後の修正や対応に要するコストは、事前に仕組みを整えるコストをはるかに上回ります。求人原稿のコンプライアンス管理は、採用活動における「予防医学」と考え、日常的な取り組みとして定着させることが重要です。

【GRAEM考察:中小企業はどう動くべきか】

株式会社GRAEM(グリーム)では、採用支援(RPO)の一環として、求人原稿の作成から法令チェック、媒体掲載後のフィードバック管理までをトータルでサポートしています。「人事担当者が一人で全部やらなければならない」という状況は、コンプライアンスリスクを高めるだけでなく、採用活動全体の質を下げる要因になります。外部パートナーをうまく活用し、担当者の負担を分散させることが、結果として採用力の強化につながります。求人原稿のコンプライアンス対応にお困りの際は、ぜひ株式会社GRAEM(グリーム)にご相談ください。

まとめ:求人原稿のNGワード対策は採用力強化の土台

本記事では、求人原稿に潜む法令違反のリスクとNGワードについて、男女雇用機会均等法・年齢制限(労働施策総合推進法)・職業安定法の三つの観点から解説しました。

重要なポイントを改めて整理します。

  • 男女雇用機会均等法:性別を連想・限定する表現(職種名も含む)はすべて見直す。職場のPRは中立的な制度・実績データで表現する。
  • 年齢制限(労働施策総合推進法):原則として年齢制限は禁止。例外を活用する場合は根拠を明記する。年齢ではなく経験・スキルで採用ターゲットを定義する。
  • 職業安定法:誇大表現や虚偽記載は厳禁。労働条件は正確かつ漏れなく記載する。

求人原稿のコンプライアンス対応は、罰則を避けるためだけでなく、求職者との信頼関係を築く採用活動の基本です。法令を守った誠実な原稿こそが、自社に本当に合った人材を引き寄せる力を持っています。

まずは自社の既存の求人票を本記事のチェックリストで見直すことから始めてみてください。不安な点や専門的なサポートが必要な場合は、株式会社GRAEM(グリーム)までお気軽にご相談ください。

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