「求人を出しても応募が来ない」「やっと採用できたと思ったらすぐ辞めてしまう」――地方で事業を営む中小企業の経営者であれば、こうした悩みを一度は抱えたことがあるのではないでしょうか。
少子高齢化による労働人口の減少、都市部への人材流出、知名度の低さ……地方中小企業が直面する採用の壁は、年々高くなっています。しかし一方で、UIターン希望者の増加やリモートワークの普及、国の地方創生施策の拡充など、地方採用にとって追い風となる環境変化も確実に起きています。
本記事では、従業員30名以下の地方中小企業経営者の方を対象に、採用における構造的な課題を整理したうえで、今すぐ実践できる打開策を具体的にご紹介します。採用難を「仕方ない」と諦める前に、ぜひ最後までお読みください。
地方中小企業が抱える採用課題の構造
人口減少と若者流出が生む「母数不足」の問題
地方の採用環境が厳しい最大の理由は、そもそも地域内に求職者の絶対数が少ないという構造的な問題にあります。総務省の調査によれば、地方圏の生産年齢人口(15〜64歳)は都市圏に比べて著しく減少が進んでおり、特に20代・30代の若い世代の流出は顕著です。高校や大学を卒業したタイミングで都市部へ移り住み、そのまま地元に戻ってこないケースは珍しくありません。
従業員30名以下の中小企業にとっては、もともと採用に割けるリソースが限られているなかで、分母となる求職者数まで少ないという二重苦を抱えることになります。大企業のように全国規模での採用ブランディングや、大量のスカウトメール送信ができるわけでもなく、地元の求人媒体に掲載しても思うように応募が集まらないというのが実態です。
この「母数不足」という課題は、単純に求人票の書き方を工夫するだけでは解決できません。ターゲットとする求職者の地理的な範囲を広げること、すなわち採用戦略そのものを根本から見直す必要があります。
知名度・情報発信力の格差
採用における競争は、何も地域内の同業他社とだけ行われているわけではありません。求職者はスマートフォン一つで全国の求人情報にアクセスできる時代であり、地方の中小企業は都市部の大企業とも間接的に競合しています。
知名度がない会社が求人を出しても、求職者は「どんな会社かわからない」という不安を覚え、応募をためらいます。会社のホームページが10年前から更新されていない、SNSは一切やっていない、採用専用のページもない……こうした情報発信の不足が、採用機会の損失に直結しています。
求職者が会社を選ぶ際、最初に行うのはインターネット検索です。検索した際に会社の魅力が伝わる情報が掲載されていなければ、応募ボタンを押してもらうことはできません。情報の非対称性を解消することが、採用力向上の第一歩です。
採用コスト・リソース不足という現実
大手求人媒体への掲載費は、1件あたり数十万円に上ることも珍しくありません。また、採用担当専任の社員を置けない企業では、社長や総務担当者が本業と兼務で採用業務をこなすケースがほとんどです。その結果、応募者への対応が遅れたり、面接の日程調整に手間取ったりして、優秀な候補者を逃してしまうという悪循環が生じます。
採用にかけられるコストとリソースが限られているからこそ、「どこに・何に集中投資するか」の優先順位づけが非常に重要です。闇雲に求人媒体を増やすのではなく、自社の採用ターゲットに最も刺さる媒体・チャネルを絞り込み、効率よく動くことが求められます。
地方中小企業の採用課題は「知らなかった」では済まされない構造的な問題です。まず自社の採用課題がどこにあるのかを正確に診断することが出発点になります。母数不足なのか、情報発信が弱いのか、それとも採用後の定着率が問題なのか――課題ごとに打ち手は異なります。株式会社GRAEM(グリーム)では、地方中小企業の採用支援において、まず現状の採用フローと情報発信の状況をヒアリングしたうえで、最も効果の高い施策から順に提案するアプローチを取っています。まずは「自社の採用の現在地」を把握することから始めてみてください。
UIターン採用で人材の母数を全国に広げる
UIターンとはなにか――その定義と可能性
UIターンとは、都市部に住む人が地方へ移住して就職・転職することを指します。Uターンは出身地の地方に戻るケース、Iターンは出身地とは異なる地方に移住するケースを指し、まとめてUIターンと呼ばれます。近年、コロナ禍を経てリモートワークが広まり、「どこに住むか」を自分で選べる人が増えたことで、都市部から地方へ移住を検討する人の数は着実に増加しています。
UIターン希望者は、都市部での就業経験やスキルを持ちながらも、地方でのライフスタイルを求めている層です。子育て環境を重視する30代の共働き夫婦、親の介護のためにUターンを検討している40代の管理職経験者、自然豊かな環境でスローライフを送りたい若手エンジニアなど、その属性は多岐にわたります。こうした人材を積極的に採用ターゲットとして設定することで、地域内だけでは到達できなかった優秀な人材にアプローチすることが可能になります。
UIターン採用を成功させる3つのポイント
UIターン採用を成功させるためには、単に求人票に「移住歓迎」と書き添えるだけでは不十分です。候補者が移住という大きな決断をするためには、仕事の内容だけでなく、「この地域で・この会社で働くことへの具体的なイメージ」を提供することが不可欠です。以下の3つのポイントを押さえてください。
- 地域の生活環境を丁寧に伝える:住居費の安さ、子育て環境の充実度、通勤時間のゆとり、休日の過ごし方など、都市部との生活コスト・質の違いを具体的な数字やエピソードで伝えましょう。採用ページやSNSで実際に移住してきた社員のインタビューを掲載するのが効果的です。
- 移住支援のサポート体制を整える:住居の斡旋や引越し費用の補助、移住前の会社見学・お試し就業の受け入れなど、候補者の不安を取り除くサポートを具体的に用意することで、応募のハードルが大きく下がります。
- 採用後のキャリアパスを明示する:移住という大きなリスクを取る候補者は、入社後の成長イメージや会社での役割を重視します。「3年後にどんな仕事ができるか」「どんなポジションを目指せるか」を言語化して伝えることが、内定承諾率の向上につながります。
活用すべき公的支援・求人媒体
UIターン採用を後押しする公的な支援制度や求人媒体も積極的に活用しましょう。国が運営する「ハローワーク」はもちろん、移住・就労支援に特化した求人プラットフォームがいくつか存在します。たとえば、地域の求人情報に特化した媒体や、移住希望者向けのマッチングサービスなどは、UIターンを検討している候補者が実際に利用しているため、費用対効果が高い場合があります。
また、自治体が主催する移住相談会や合同企業説明会への参加も有効な手段です。東京・大阪など都市部で開催される移住フェアでは、地方への移住を本気で考えている求職者と直接話すことができ、自社の魅力を直接伝えるチャンスになります。自治体の移住担当部署と連携し、企業情報を移住促進サイトに掲載してもらうだけでコストをかけずに露出を増やせる場合もあります。
UIターン採用は「待つ」のではなく「仕掛ける」採用です。地域内に人材がいないのであれば、全国から探しに行く発想の転換が必要です。株式会社GRAEM(グリーム)では、移住希望者に訴求力の高い求人原稿の作成から、UIターン特化の媒体選定、移住相談会への出展サポートまで一貫して支援しています。はじめてUIターン採用に取り組む企業でも安心してスタートできる体制を整えておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
リモート活用で「場所の壁」を取り払う
リモートワーク・ハイブリッド採用という新発想
「うちは製造業だからリモートは無理」と思っている経営者の方もいるかもしれません。確かに、生産ラインや現場作業はリモートで代替できません。しかし、総務・経理・マーケティング・採用・広報・システム管理など、バックオフィス業務の多くはリモートでも十分に機能します。こうした間接部門についてはリモート前提の採用を行い、現場業務は地域採用に集中するという「機能別採用」の発想が有効です。
たとえば、東京在住の経験豊富なマーケターを週3日リモートで採用し、週1〜2日だけ現地に来てもらうハイブリッド形式を採用している地方中小企業も増えています。このモデルであれば、都市部の人材に「移住」を求めずに済むため、候補者の母数が大幅に広がります。また、候補者側にとっても生活環境を変えずに挑戦できるため、応募のハードルが格段に下がるというメリットがあります。
リモート人材との関係構築で注意すべき点
リモート採用で失敗する企業に共通しているのは、「採用したら終わり」という意識です。リモート人材は物理的に離れた場所で働くため、孤立感やコミュニケーション不足が生じやすく、それが早期離職につながるリスクがあります。
リモート人材との関係を長期的に維持するためには、以下のような取り組みが効果的です。
- 定期的な1on1ミーティングの設定:週に一度、業務報告だけでなく近況や悩みを話せる時間を確保する。
- チャットツールの活用:SlackやChatworkなどで日常的なコミュニケーションを活発にし、テキストでも温度感が伝わる工夫をする。
- 定期的なオフライン集会の実施:四半期に一度は現地に来てもらい、チームとしての一体感を醸成する機会をつくる。
リモート人材が「チームの一員である」と感じられる環境づくりが、定着率向上の鍵を握ります。
副業・フリーランス活用という選択肢
正社員採用にこだわらず、副業人材やフリーランスを活用するという選択肢も検討に値します。たとえば、専任のSNS担当者を雇う余裕がなくても、都市部在住のSNSマーケターに月10万円程度で業務委託するという形なら、採用コストを抑えながら即戦力のスキルを活用できます。
副業・フリーランス活用は、将来的な正社員採用のお試し期間としても機能します。業務を通じてお互いの相性や能力を確認したうえで、本採用に切り替えるというルートは、採用ミスマッチを大幅に減らす効果があります。クラウドソーシングサービスや副業マッチングプラットフォームを活用すれば、比較的低コストで優秀な人材と出会うことができます。
「場所に縛られない採用」は、もはや大企業だけの話ではありません。地方の中小企業こそ、リモートや副業活用によって都市部の優秀人材にアクセスできるチャンスがあります。ただし、リモートワーク環境の整備やコミュニケーション設計が不十分なまま進めると、早期離職という最悪の結果を招くことも。株式会社GRAEM(グリーム)では、採用後の定着を見据えたリモート人材の受け入れ体制づくりについても、採用支援(RPO)の一環としてご支援しています。「採用する前に環境を整える」という順番を大切にしてください。
地方創生施策を味方につけた採用戦略
国・自治体の補助金・支援制度を最大限に活用する
地方採用の追い風として、国や自治体が用意している各種支援制度は非常に心強い味方です。たとえば、移住者の採用に際して企業が受け取れる補助金制度、求人情報の無料掲載支援、採用コンサルティングの費用補助など、地域によってさまざまな施策が実施されています。
こうした支援制度の多くは、知らないだけで使えていないケースがほとんどです。自社が所在する自治体の産業振興課や商工会議所に問い合わせるだけで、思わぬ支援制度が見つかることがあります。また、厚生労働省が実施する「地方就職支援金」など、移住者本人への支援金制度が企業の採用活動と連動する仕組みも整備されており、求職者への訴求ポイントとして活用できます。
補助金・助成金の活用は、採用コストを実質的に引き下げる手段として、積極的に調べて活用すべきです。ただし、申請には要件や締め切りがあるため、早めに情報収集を始めることが重要です。
地域ブランディングで「選ばれる会社」になる
地方創生の流れのなかで注目されているのが、「地域ならではの価値」を打ち出した採用ブランディングです。都市部の大企業には決して真似できない、地方中小企業ならではの魅力があります。それは、豊かな自然環境、地域コミュニティとの深いつながり、移住者が驚くほど低い生活コスト、そして社員一人ひとりの仕事の幅広さとやりがいです。
「スキルをつけたいなら地方の中小企業のほうが成長できる」「子育て環境が段違いによい」「会社と地域のために働いているという実感が得られる」――こうしたメッセージを採用ページやSNSで継続的に発信することで、地方移住に価値を見出す求職者の心に刺さる採用ブランディングを構築できます。
地域のローカルメディアや移住促進メディアへの掲載依頼、地元観光協会や商工会との連携による露出増加なども、コストをかけずに認知度を高める有効な手段です。
大学・高校との連携で将来の採用パイプラインをつくる
即戦力採用だけに目を向けていては、中長期的な採用力は育ちません。地方に所在する大学・高校との連携を通じて、インターンシップの受け入れや授業への講師派遣、学内合同説明会への参加などを積極的に行うことで、将来の採用候補者との関係を在学中から築くことができます。
地元の学生は「地元で働きたい気持ちはあるが、良い会社が見つからない」と感じているケースが多くあります。在学中に会社の存在を知り、インターンシップで職場の雰囲気を体験した学生は、卒業後の就職先として自社を選んでくれる可能性が格段に高まります。採用の即効性はないものの、2〜3年後の採用を見越した先行投資として非常に重要な取り組みです。
地方創生の流れは、採用に活かせる「宝の山」です。補助金・助成金、自治体との連携、地域ブランディング、教育機関との連携――これらはどれも単独で動くより、組み合わせることで相乗効果を生みます。しかし、中小企業の経営者が本業をこなしながらこれらすべてを調べ・実行するのは現実的ではありません。株式会社GRAEM(グリーム)のRPO(採用支援)サービスでは、こうした外部リソースの調査・活用提案も含めたトータルサポートを提供しています。「何から手をつければいいかわからない」という方こそ、ぜひ一度ご相談ください。
採用の「仕組み化」で小さな会社でも勝ち続ける
採用を属人化させないための採用フロー整備
多くの中小企業では、採用活動が「社長の勘と経験」に依存しています。社長が忙しければ採用が止まり、採用担当者が変われば一からやり直し……この属人化した採用体制こそが、安定した採用力を妨げる元凶です。
採用を仕組み化するためには、まず採用フロー全体を文書化することから始めましょう。「どの媒体に掲載するか」「応募者への返信は何時間以内に行うか」「面接は何回実施するか」「評価基準は何か」「内定通知のタイミングは」といった一連のプロセスをマニュアルとして整備することで、担当者が変わっても安定したクオリティの採用活動を維持できます。
また、採用管理システム(ATS)を導入することで、応募者情報の一元管理や選考状況の可視化が可能になり、対応漏れや連絡の遅れを防ぐことができます。無料・低コストで利用できるATSも増えているため、規模の小さな会社でも十分に活用できます。
採用ブランディングとSNS・自社サイト活用
採用ブランディングとは、求職者に対して「この会社で働きたい」と思わせるための継続的な情報発信活動です。求人票を出すだけでは伝えられない「会社の空気感」「働く人の人柄」「ミッション・ビジョン」を、SNSや自社採用ページを通じて日常的に発信することで、求職者が応募を決断するための「背中を押す情報」を蓄積していきます。
たとえば、Instagramで社員の日常や職場風景を発信する、noteで代表のビジョンや会社のストーリーを記事にする、YouTubeで工場や作業現場の様子を動画で紹介する、といった取り組みは、いずれも低コストで継続できる採用ブランディングの手段です。
重要なのは、発信する内容が「採用のため」という匂いを消し、純粋に会社の魅力や働く人の声を伝えることに徹することです。過度な宣伝色は求職者に敬遠されますが、リアルな日常を発信することで共感を生み、長期的なファンを育てることができます。
定着率を高める「入社後」の設計
どれだけ採用に成功しても、入社後すぐに辞められてしまっては意味がありません。採用コストは入社後1〜2年で退職されると完全に水の泡になります。地方中小企業において特に課題となりやすい早期離職を防ぐためには、「入社後の体験設計(オンボーディング)」に真剣に取り組む必要があります。
具体的には、以下のような取り組みが効果的です。
- 入社前のフォローアップ:内定から入社までの期間に、定期的に連絡を取り、不安を解消する。特にUIターン採用の場合は引越しのサポートなど実務的な支援も重要。
- メンター制度の導入:入社後3〜6ヶ月間、専任のメンターを設定して日常的な相談窓口をつくる。
- 定期的なフィードバック面談:1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月のタイミングで上司や経営者が直接話を聞き、課題を早期に把握する。
- 成長の機会を見える化する:入社後のキャリアパスや学べるスキルを明確に示し、「この会社で成長できる」という実感を継続的に持ってもらう。
採用は「内定を出した瞬間」ではなく、「その人が戦力として活躍し始めたとき」に初めて成功と言えます。採用と定着をセットで設計する視点を持つことが、長期的な採用力の基盤となります。
採用の仕組み化は、一度構築すれば長年にわたって会社に貢献する「資産」になります。逆に言えば、仕組みがないまま採用を繰り返しても、毎回ゼロからやり直すことになり、経営者のエネルギーと採用コストを浪費し続けます。株式会社GRAEM(グリーム)のRPOサービスでは、採用フローのマニュアル化から採用ブランディングの構築、入社後の定着支援まで、採用に関わるすべてのプロセスをワンストップでサポートします。「採用を仕組みにしたい」と感じている経営者の方は、ぜひ一度お問い合わせください。
まとめ:地方中小企業の採用は「発想の転換」から始まる
地方中小企業の採用課題は、確かに深刻です。しかし、課題の本質を正確に理解し、適切な打ち手を組み合わせることで、状況は必ず変えられます。本記事でご紹介した打開策を改めて整理すると、以下のようになります。
- UIターン採用:採用ターゲットの地理的範囲を全国に広げ、移住希望者に刺さる情報発信と支援体制を整える。
- リモート・副業活用:場所の壁を取り払い、都市部の優秀人材を採用ターゲットに加える。バックオフィス業務から取り入れるのが現実的。
- 地方創生施策の活用:補助金・助成金、自治体との連携、教育機関との関係構築を通じて、採用コストを下げながら採用パイプラインを育てる。
- 採用の仕組み化:属人化した採用から脱却し、フローの標準化・採用ブランディング・入社後の定着設計を一体で取り組む。
大切なのは、「うちには無理だ」と諦める前に、一つひとつの打ち手を試してみることです。採用は経営そのものです。人が集まり、定着し、成長する組織をつくることが、地方中小企業の持続的な発展につながります。
株式会社GRAEM(グリーム)は、求人広告代理店としての知見とRPO(採用支援)のノウハウを組み合わせ、地方中小企業の採用課題を解決するパートナーとして伴走します。採用についてお困りのことがあれば、ぜひ下記よりお気軽にご連絡ください。
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