山の日に考える地方中小企業の採用戦略

求人関係

8月11日は「山の日」。山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する祝日として2016年に制定されました。都市部のオフィスで働く人々がふと立ち止まり、「地方で暮らしてみたい」「自然の近くで仕事がしたい」と思いを馳せるこの時期は、地方の中小企業にとって採用活動を見直す絶好のタイミングでもあります。

少子高齢化と東京一極集中が続く中、従業員50名以下の地方中小企業が「いい人材が来ない」と嘆く声は後を絶ちません。しかし一方で、コロナ禍を経て地方移住への関心は確実に高まっており、Iターン・Uターン希望者の数は増加傾向にあります。問題は、その「移住したい人」と「採用したい企業」がうまくつながっていないことにあります。

本記事では、山の日をきっかけに地方採用の可能性を再発見し、地方移住・Iターン・地域貢献採用という3つの切り口から、地方中小企業が今すぐ実践できる採用戦略を株式会社GRAEM(グリーム)が徹底解説します。

目次

山の日が教えてくれる「地方の価値」と採用チャンス

地方移住への関心はなぜ高まっているのか

内閣府や各種民間調査によると、新型コロナウイルスの感染拡大を経て、東京圏在住者の地方移住への関心は以前と比べて大きく高まっています。テレワークの普及により「必ずしも都市部に住まなくてもよい」という意識が定着したこと、また過密な都市生活への疲弊感から「自然の豊かな場所でゆとりある暮らしがしたい」という価値観が広まったことが主な背景として挙げられます。

特に注目すべきは、20代〜40代の現役世代での移住関心層が厚くなっている点です。単なる「老後の田舎暮らし」ではなく、キャリアの途中でライフスタイルそのものをリセットしたいと考える人が増えています。山の日のような祝日に自然や地方へ思いを馳せる機会が増えるほど、その気持ちは強化されていきます。

地方の中小企業経営者の皆さんには、この流れを「追い風」として捉えてほしいと思います。人材が都市部に集中していた時代は、地方企業にとって採用は常に不利な戦いでした。しかし今は、移住希望者という新しい母集団が確実に育ちつつあります。その人々に届く採用活動ができるかどうかが、これからの地方採用の鍵を握っています。

地方中小企業が持つ「強み」を採用に活かす視点

地方の中小企業はしばしば「給与が低い」「知名度がない」「福利厚生が弱い」と、都市部の大企業と比較されて弱者の立場に置かれます。しかし、採用においてはその見方を根本から変える必要があります。

地方中小企業が本来持っている強みは少なくありません。

  • 自然環境の豊かさ:山、川、海など豊かな自然が生活圏の中にある
  • 生活コストの低さ:家賃や食費が都市部に比べて大幅に安く、実質的な生活水準が高い
  • 人間関係の温かさ:地域コミュニティのつながりが強く、孤立しにくい
  • 仕事の裁量の広さ:中小企業ならではの多様な業務経験と早期のキャリアアップ機会
  • 地域に根ざした仕事の意義:自分の仕事が地域社会に直結しているという実感

これらの強みは、給与の数字だけを追う求職者には刺さりませんが、ライフスタイルや働く意味を重視する人材には強力な訴求力を持ちます。山の日に象徴されるような「自然と共に生きる暮らし」を求める層に対して、地方企業の魅力は都市部の大企業を上回る可能性があるのです。

【GRAEM考察:中小企業はどう動くべきか】

山の日のような節目の時期は、SNSや求人媒体でのコンテンツ発信の絶好機です。「自然の中で働く社員のリアルな一日」「地方ならではの暮らしと仕事の両立」といったテーマで自社の魅力を発信することで、移住関心層の目に留まりやすくなります。株式会社GRAEM(グリーム)では、こうした採用ブランディングのコンテンツ設計から支援しています。まずは「自社の強みをどう言語化するか」から着手してみましょう。

Iターン採用の仕組みづくり:都市部人材を地方へ呼び込む方法

Iターンとは何か?UターンやJターンとの違い

地方採用を語るうえで、移住の形態を正しく理解しておくことは重要です。よく混同される3つのターンについて整理します。

  • Uターン:地方出身者が都市部での生活・就業を経て、出身地に戻ること。地元への愛着が動機になりやすい
  • Iターン:都市部出身者が、縁もゆかりもない地方へ移住して働くこと。ライフスタイルの変化を求めた純粋な移住意欲が動機
  • Jターン:地方出身者が都市部を経て、出身地ではないが比較的近い別の地方都市へ移住すること

地方中小企業にとって特に注目したいのがIターン採用です。出身地への帰郷ではなく、「この地域・この会社で働きたい」という純粋な意志に基づく移住であるため、定着率が高い傾向があります。また、都市部での職務経験やスキルを持ったまま地方に来てくれるため、即戦力として期待できる点も魅力です。

Iターン希望者が求めているものとは

Iターン希望者の多くは、単に「田舎に住みたい」だけではなく、仕事においても明確な期待を持っています。彼らが移住先での就職・転職を検討する際に重視するポイントを理解しておくことが、採用成功の前提となります。

Iターン希望者が求める主な要素は以下のとおりです。

  • 明確なキャリアパス:「地方に来たらキャリアが止まる」という不安を払拭できる成長機会
  • リモートワーク・柔軟な働き方:移住しつつも都市部のプロジェクトにも関われる環境
  • 住まいのサポート:住宅情報の提供、社宅や社員寮の有無、移住補助金の案内
  • 地域コミュニティへの溶け込みやすさ:会社が地域とつながっているか、孤立しない環境か
  • 仕事の社会的意義:地域や社会に貢献できる実感が持てる仕事かどうか

給与面だけを強調した求人票では、Iターン希望者の心には届きません。彼らが移住という大きな決断をする背景には、「人生をもっと豊かにしたい」という深い動機があります。その動機に応える情報を丁寧に発信することが、Iターン採用の第一歩です。

Iターン採用を成功させるための具体的な施策

Iターン採用を仕組みとして機能させるには、以下のような取り組みが効果的です。

  • 移住体験プログラムの実施:採用前に数日間、実際の業務や地域生活を体験してもらうお試し移住・インターン制度の導入
  • 移住コーディネーターとの連携:各自治体には移住相談窓口や移住コーディネーターが存在します。連携することで移住希望者に自社情報を届けやすくなります
  • 移住支援専門の求人媒体への掲載:「SMOUT」「ローカルワーク」「JOIN」など、移住・地方転職に特化したプラットフォームを活用する
  • 採用担当者によるオンライン会社説明会:移住前の段階でも気軽に話を聞けるオンライン接点を設ける
  • 移住支援金の活用と周知:国や自治体が提供する移住支援金(最大100万円程度)の情報を求人票や説明会で積極的に案内する

特に「移住体験プログラム」は、ミスマッチによる早期離職を防ぐ効果が高く、内定承諾率の向上にも貢献します。地域での生活をリアルに体感してもらうことで、本人の覚悟も深まり、入社後の定着につながります。

【GRAEM考察:中小企業はどう動くべきか】

Iターン採用では、求人票の内容だけでなく「どのチャネルに出稿するか」が成否を大きく左右します。一般的な転職サイトだけでなく、移住・地方転職特化型のプラットフォームへの掲載を検討してください。また、自治体の移住促進担当部署と連携を取ることで、広告費をかけずに自社情報を移住希望者へ届けられるケースもあります。株式会社GRAEM(グリーム)では、地方採用に適したメディア選定と出稿戦略のご提案が可能です。どの媒体が貴社の地域・職種に合っているか、ぜひご相談ください。

地域貢献採用という新しい採用軸:共感で人を集める時代へ

地域貢献採用とは何か

近年、採用市場において「給与・待遇」以外の軸で求職者の心を動かす手法が注目されています。その一つが「地域貢献採用」という考え方です。

地域貢献採用とは、「この会社で働くことが、この地域の未来につながる」というメッセージを採用の核に据えたアプローチです。単なる「いい会社」をアピールするのではなく、「この地域にとってなぜこの会社が必要なのか」「社員一人ひとりの仕事がどう地域社会に影響を与えているのか」を言語化し、発信することで、社会貢献意識の高い人材を引き寄せます。

背景にあるのは、現代の働き手の価値観の変化です。特にミレニアル世代やZ世代と呼ばれる若い世代は、仕事を通じた「社会的意義」や「自分の存在価値」を強く求める傾向があります。給料だけでは人は動かない時代に、「共感」と「貢献感」が最強の採用ツールになります。

地域貢献を打ち出した求人票の書き方

地域貢献採用を実践するうえで最初に取り組むべきは、求人票の書き方を変えることです。多くの地方中小企業の求人票は、「業務内容・給与・勤務時間」のみを記載した無味乾燥なものになりがちです。そこに「地域への貢献」という物語を加えることで、求人票の力は大きく変わります。

具体的には、以下のような要素を取り入れると効果的です。

  • 会社の地域における役割の明示:「〇〇地域の農産物を全国へ届ける物流を担っています」「創業40年、地域の住まいを守り続けてきた工務店です」など
  • 社員の声・地域での暮らしのリアル:実際に移住して働く社員のインタビューや日常の写真
  • 入社後に担うミッションと社会的意義:「あなたが担う〇〇の業務が、この地域の◯◯につながります」という接続の言葉
  • 地域コミュニティへの参加機会:祭りへの参加、地域清掃、農業体験など会社として地域に関わる活動の紹介

求人票は単なる労働条件の羅列ではなく、会社のストーリーを語る場所です。地域に根ざした中小企業だからこそ語れる物語が、必ずあるはずです。

地域との連携で採用力を高める方法

地域貢献採用をさらに強化するには、会社単独での発信にとどまらず、地域全体を巻き込む採用活動が有効です。

  • 地域の学校・大学との連携:地元の高校・大学でのインターンシップ受け入れや出前授業の実施。将来の地元就職につながるだけでなく、地域での認知度向上にも効果的
  • 自治体の企業誘致・雇用促進事業への参加:多くの自治体が地域企業の採用を支援する事業を展開しています。積極的に活用することで、行政のルートで移住希望者に自社情報が届きます
  • 地域のイベント・移住フェアへの出展:都市部で開催される移住フェアや転職イベントに参加し、移住希望者と直接対話する機会を持つ
  • 地域おこし協力隊との連携:地域おこし協力隊として着任した人材が、任期終了後に地域企業に就職するケースが増えています。協力隊の受け入れ窓口となることで、将来の採用につながる関係構築ができます

地域全体が「この企業は地域に必要だ」と認めるようになると、口コミや紹介による採用が生まれ、採用コストの削減にも直結します。地域との関係性は、採用における最も強力な無形資産です。

【GRAEM考察:中小企業はどう動くべきか】

地域貢献採用は「いいことをしているアピール」ではありません。自社の事業が地域にどんな価値をもたらしているかを、客観的・具体的な言葉で伝えることです。「地域の◯◯軒の飲食店を支えている食材卸」「1000人以上の地域住民の健康を守るクリニック」など、数字を交えた具体的な言語化が効果的です。株式会社GRAEM(グリーム)では、採用コピーの言語化・求人票の改善支援も行っています。現在の求人票を見直したい経営者の方は、ぜひ一度ご相談ください。

地方中小企業が採用を成功させるための実践ロードマップ

採用ブランディングから始める:自社の魅力を言語化する

地方採用を成功させるための最初のステップは、「自社の採用ブランドを確立すること」です。採用ブランディングとは、求職者から見た会社の魅力・イメージを意図的に設計・発信することを指します。

多くの地方中小企業が採用で苦戦する理由の一つは、「自社の魅力を言語化できていないこと」にあります。社長や従業員が感じているやりがいや誇りを、求職者に伝わる言葉に変換する作業が必要です。

具体的には、以下のステップで進めます。

  • Step1:自社の強みの棚卸し:経営者・既存社員へのヒアリングで「なぜここで働き続けているか」「この会社の自慢は何か」を言語化する
  • Step2:ターゲット人材の明確化:どんな価値観・ライフスタイルを持つ人に来てほしいかをペルソナとして設定する
  • Step3:採用コンセプトの設定:「〇〇な人と、〇〇な地域を作りたい」という会社としての採用メッセージを一言で表現する
  • Step4:各接点への展開:求人票・自社HP・SNS・会社説明会資料など、すべての採用接点に一貫したメッセージを反映させる

採用ブランディングは一朝一夕では完成しませんが、一度しっかり構築できれば、採用活動全体の効率が飛躍的に上がります。採用ブランドが確立された企業は、求職者から選ばれる立場になれます。

活用すべき採用チャネルと補助金・支援制度

地方採用では、使う採用チャネルを適切に選ぶことが成功の鍵を握ります。すべての媒体に掲載するのは予算の無駄であり、ターゲットに合ったチャネルに集中することが重要です。

地方・移住採用に有効なチャネルを紹介します。

  • 移住・地方転職特化型プラットフォーム:SMOUT、ローカルワーク、JOIN(全国移住ナビ)、ふるさと回帰支援センターなど
  • ハローワーク・地域の就職支援機関:地域密着型の求職者にアプローチできる。UIJターン就職・移住促進窓口との連携も効果的
  • SNS採用(Instagram・X・Facebook):地域の暮らしや職場の雰囲気を視覚的に発信できるInstagramは、移住関心層へのリーチに有効
  • 自社採用サイト・オウンドメディア:SEOで地方移住・転職を検討している人に直接リーチできる。コンテンツ積み上げが長期的な採用力強化につながる

また、採用にかかるコストを抑えるために、公的な補助金・支援制度も積極的に活用してください。

  • 地方移住支援金:東京圏から地方へ移住する人材に最大100万円(単身は60万円)を支給する国の制度。条件を満たせば採用企業の求人もリストに掲載可能
  • 人材確保等支援助成金:雇用管理改善や人材確保に向けた取り組みへの助成
  • 各自治体独自の採用支援補助金:県・市町村によって独自の採用支援補助が存在します。地元の産業振興担当部署に確認することをお勧めします

補助金・支援制度は知っている企業だけが得をする世界です。情報収集を怠らず、使えるものはフル活用する姿勢が、採用コストの大幅削減につながります。

入社後の定着を見据えたオンボーディング設計

どれだけ優れた採用活動をしても、入社後すぐに離職されてしまっては元も子もありません。特に、縁もゆかりもない土地へのIターンで入社した社員にとって、入社直後は「本当にここで良かったのか」という不安が最も高まる時期です。

定着のカギは、入社後3ヶ月以内の体験設計にあります。この時期にいかに「この会社・この地域に来て良かった」と感じてもらえるかが、長期定着を左右します。

具体的なオンボーディング施策として以下が効果的です。

  • メンター制度の導入:先輩社員が新入社員の業務・生活両面のサポートを担当する仕組みを作る
  • 地域紹介プログラム:地元のおすすめスポット、近隣住民との顔つなぎ、地域行事への参加案内など、生活面での定着サポートを会社が積極的に担う
  • 定期的な1on1面談:上司・人事が定期的に個別面談を行い、不安や課題を早期に把握・対処する
  • 社内コミュニティの活性化:既存社員との交流機会(ランチ会、社内イベントなど)を意図的に設ける
  • 業務上の早期成功体験の設計:入社後に「自分がここで貢献できている」と感じられる仕事の機会を早めに作る

採用は「入社後」まで含めて設計するものです。「採用して終わり」ではなく、「採用してからが本当のスタート」という認識を持つことが、地方中小企業の人材戦略において最も重要な視点の一つです。

【GRAEM考察:中小企業はどう動くべきか】

地方採用は、採用・定着・地域連携を一体で設計することが成功の要件です。どれか一つだけ取り組んでも、効果は限定的です。採用ブランドを構築し、適切なチャネルで届け、入社後の体験を丁寧に設計する──このサイクルを回し続けることで、地方中小企業でも継続的な人材確保が可能になります。株式会社GRAEM(グリーム)では、採用戦略の立案から媒体選定・出稿・採用RPOまで、一気通貫でご支援しています。「何から手を付けていいかわからない」という段階からのご相談も大歓迎です。

まとめ:山の日をきっかけに、地方採用の可能性を再発見しよう

山の日は、自然の恵みと地方の豊かさを再認識する日です。しかし従業員50名以下の地方中小企業の経営者にとっては、それだけでなく「都市部の人材が地方への移住を夢見るこの時期に、自社の採用活動を見直すチャンス」でもあります。

本記事で解説した内容を整理します。

  • 地方移住への関心は高まっており、地方中小企業の採用にとって追い風が吹いている
  • Iターン採用は、都市部の即戦力人材を地方へ呼び込む有力な手段であり、移住体験プログラムや専門チャネルの活用が鍵になる
  • 地域貢献採用は「共感」で人を集める現代の採用軸であり、求人票の書き方と地域連携が重要
  • 採用ブランディング・チャネル選定・入社後のオンボーディングを一体で設計することで、採用の成功確率が大きく高まる

地方にある中小企業だからこそ語れる物語があります。その物語を正しく言語化し、届けるべき人に届けることができれば、採用は必ず変わります。株式会社GRAEM(グリーム)は、そのプロセスを全力でサポートします。採用にお悩みの地方中小企業の経営者の方は、ぜひ一度ご相談ください。

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