【2023年版最低賃金】過去最大41円引き上げ。全国平均1004円へ/企業にもたらす影響・対策とは

求人関係

厚生労働省は、各都道府県労働局に設置されている地方最低賃金審議会が答申した令和6年度の地域別最低賃金の改定額を取りまとめました。

全国平均は1004円と、国が想定した1002円を上回りました。
東京都など8都府県では1000円を上回り、働く人の5割超で1000円以上の時給が適用されることになります。
九州や東北、中国地方でも大幅な引き上げが目立ち、地方ほど人材の流出と人手不足が深刻で、最低賃金を通じた賃上げの必要性が強まっています。

最低賃金引き上げは企業にどのような影響を与えるのでしょうか。
各都道府県の改定額とこれから企業がとるべき対策をまとめます。

【最低賃金制度とは】

最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、企業はその最低賃金額以上の賃金を従業員に支払わなければならないとする制度です。

万が一、最低賃金額より低い賃金を企業と従業員の合意により定めたしても、法律によって無効となり、
最低賃金額未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金額との差額を支払わなくてはなりません。

最低賃金には、各都道府県に1つずつ定められた「地域別最低賃金」と、特定の産業に従事する労働者を対象に定められた「特定(産業別)最低賃金」の2種類があり、地域別最低賃金額以上の賃金を支払わない場合には、最低賃金法により50万円以下の罰金・特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、労働基準法により30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

現在の最低賃金と、改定額、及び発効予定年月日は下記の通りです。

【最低賃金引き上げの目的】

最低賃金の引き上げの背景には、人手不足や貧困対策などがありますが、
大きな目的は下記の3つに分けられます。
●消費活動の活性化
まず1つ目は、国内の消費を盛り上げて景気を回復させる事です。
企業が従業員に対して高水準の賃金を支払うことで、一人当たりの収入が増え、
消費活動が盛んになります。

●生産性の向上
次に、賃上げで労働者の勤労意欲を高め、生産性を向上させることです。
少⼦⾼齢化に伴い、労働⼈⼝は減る一方。
さらに、働き方改革の推進によって労働時間の削減を求められているため、
ひとりひとりの生産性向上が必要となります。 

●地方活性化
最後の目的は、都市部との所得格差を縮小させ、地方での人口流出に歯止めをかけることです。
2022年の最低賃金は、最も高い東京都の時給1072円に対し、最も低い県は時給853円であり、
219円の開きがあります。
その結果賃金が高い地域への人口流出が起こり、低い地域の経済が停滞します。
人材確保のために、そうした地域では高めの最低賃金の引き上げが必要といえます。

【最低賃金引き上げによる企業側への影響】

最低賃金の引き上げは企業にとって大きな影響をもたらします。
●人件費増加による経営への圧迫
1番の影響は人件費の増加です。
現状、最低賃金よりも高い賃金を設定している企業への影響は低いものの、
最低賃金ギリギリで雇用を結んでいる企業は、大きな負担となります。
また、現状では影響のない企業にとっても、
2030年代半ばまでに全国平均1500円目指す政府の意向も踏まえ、
人件費の負担を考えておく必要があります。

●採用コストへの影響
他企業も同時に賃金を上げていくことで差別化が難しくなり、
新しい人材の確保が難しくなります。

●従業員への影響
例えば、扶養内で働く主婦(夫)にとっては扶養範囲を超えないために労働時間の削減が必要となります。
一方で、最低賃金の引き上げによって増大した人件費を捻出するために正社員の給与の減額、正社員とパートタイムの給与差が少なくなると、正社員のモチベーションが低下するリスクが高まります。
また、現在サラリーマンの年収のおよそ4分の1を占めているといわれる残業代を削減することで、報酬が下がり正社員のモチベーションが下がる可能性も考えられます。

【最低賃金引き上げに向けた対応】

●人材の定着と育成
今後企業側に求められる事は、いかに人材の定着率を上げていくか、です。
せっかく雇用しても、短い期間で辞められてしまっては、辞めてしまった人に費やした費用や時間が無駄になってしまいます。さらに、教育にかけた時間や先輩社員の人件費も無駄になります。
長く在籍していれば、その会社のことを熟知していき、生産性を上げるためにとても重要な存在となるのです。
新たに雇用する新人だけではなく、既に在籍している社員の定着・育成が重要です。

●生産性向上
従業員に対し、資格取得支援・勉強会の開催・外部セミナーへの参加を促し、スキル向上により業務の効率化を図る事も有効です。
生産性の向上により、従業員の労働時間短縮へ繋がり残業代の削減へ繋がります。

また、DX化などの設備投資をして生産性を高める方法もあります。
政府はさまざまな支援策で企業の生産性向上を支援しています。
厚労省は、生産性向上のための設備投資(機械設備、POSシステム等の導入)などを行った中小企業・小規模事業者へ向けて、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成するとしているので、活用するのもよさそうです。
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